「スパルタな指導は最近では歓迎されない」や、逆に「スパルタな指導でどんどん鍛えていくつもりだから、しっかりついてきてほしい」など、人に対する教え方の時に「スパルタ」という言葉を聞く機会は多いでしょう。
実際、「スパルタ」という言葉は勉強や部活など学校で指導を受ける時に使われたり、あるいは社会に出てからも新人研修などの場で「スパルタな教え方」や「スパルタな指導」という表現を聞くこともあります。
では、どんな行動が「スパルタ」と言われる行動になるのでしょうか。
スパルタという言葉自体の意味やスパルタな行動、また周りからスパルタな人だと言われがちな人の特徴について紹介していきます。
さらに、スパルタな指導をしなければならない時であっても、人間関係に悪影響を及ぼさないように注意しておきたい点もチェックしておきましょう。
スパルタとは?
スパルタという言葉の語源は、実は古代ギリシアに遡ります。
古代ギリシアに存在した都市国家「スパルタ」で7歳になると厳しい教育が行われていたことから、現代でも厳格かつ過酷な訓練を施すことを「スパルタ」という言葉で表現します。
当時のスパルタの教育を見てみると、病弱な子どもは捨てられてしまったり悪いことをした罰として裸足で過ごすことを強要されるなど非常に厳しい教育であったことが分かります。
当然、現在ではこれほど厳しい教育をすることはありませんが、それでも「平均よりも明らかに厳しい指導」や「年齢に対して厳しすぎる教え方」などは「スパルタ教育」と言われてしまいがちです。
厳しく指導すること、すなわちスパルタ教育が絶対に悪いわけではありませんが、やりすぎないように注意して指導していくことも大事であると覚えておいた方が良いでしょう。
スパルタな行動4選
「〇〇をしたらスパルタ教育である」など、スパルタ教育にはこのような明確な定義は存在していません。
そのため周りからはスパルタ教育に見えても教育者と教えられる生徒が厳しいと思っていなければスパルタ教育とはされないこともありますし、逆に周りからは優しい指導だと思っていても生徒側が厳しすぎて辛さに耐えられないとスパルタ教育だと言われてしまう恐れもあります。
では、そのように明確な定義がないスパルタ教育ですが、主にどのような行動がスパルタ教育だと言われがちなのでしょうか。
第三者の目線から見てもスパルタ教育だと言われがちな行動について、具体的に紹介していきます。
学業
「スパルタ」という言葉の後に続く単語としては「教育」を連想する人が多いのではないでしょうか。
実際に「受験のためにスパルタ教育を行っている」や「無理なスパルタ教育のせいでなかなか遊ぶ時間が取れない子ども時代を過ごした」など、学業においてスパルタを経験したという人は決して少なくありません。
学業といえば、学校での勉強だけではなくスパルタ教育を行っている塾に行くこともあれば、家庭教師を雇って家庭教師にスパルタ教育をしてもらっているという家庭もあるでしょう。
ではそれぞれの場面で、スパルタ教育がどのような教育のことを指すのか見ていきましょう。
学校
学校というと、最近では「ゆとり教育」などの言葉からのびのびとした教育風景を想像する人も多いかもしれません。
しかしながら、実際は土日が休みになっても教えなければならない内容は以前と変わらず、さらに英語やプログラミング教育なども増えているため実際はスパルタ教育が進んでいると主張する人もいます。
また、授業内容が以前よりも多く授業のスピードが速くなっただけではなく、昭和の頃のように給食を食べ終わらない子に対しては5時間目が始まっても食べさせていたり、授業中に少し私語をしただけで水を入れたバケツを持たせて廊下に立たせたり、あるいは正当な理由がない体罰を行ったりすることもスパルタ教育の一種だといえるでしょう。
塾
学校の場合は勉強だけではなく生活面での決まり事など色々なことを学ぶ場ですが、塾の場合は基本的に学力をアップさせて目標点を取ったり志望校に合格したりすることを目的に通う場所です。
そのため、学校よりも塾の方がスパルタ教育が行われる可能性も高いと考えられています。
塾でのスパルタ教育というと、以前は30cm定規や竹刀などを持った先生が教室内にいて私語をした生徒や集中を切らした生徒に対して体罰を加えることもありました。
また、他の生徒の邪魔になるからと授業中であっても退出を促したり、過度な課題を課すようなスパルタな指導もあったでしょう。
以前はもちろん、現代でも当然ながらこのような指導はスパルタに該当するため注意が必要です。
家庭教師
家庭教師の中には大学生がアルバイトの一環で行っていてフレンドリーな雰囲気で学べる家庭教師もいますが、なかにはプロの家庭教師がスパルタ教育を施す家庭教師も存在しています。
特に幼稚園や小学校、中学受験などを目的として家庭教師を雇う場合は、子どもの集中力に関わらず数時間単位で強制的に勉強を続けさせるようなスパルタな指導が行われることもあります。
また、勉強だけではなく音楽や料理、絵画などの専門的な分野であってもスパルタ教育が施されるケースも少なくはありません。
特にコンクールなどが近付いていると、そのコンクールの成績が今後の進路といった人生を大きく左右することもあるので、スパルタ教育はさらに激しさを増すこともあるでしょう。
マンツーマンだからこそ、学校や塾よりも家庭教師の方がスパルタ教育が行われる可能性が高いと言われています。
部活
昔は「暑くても部活の途中で水は飲まない」などの間違ったスパルタ教育が行われていることもありましたが、現在ではそのようなスパルタ教育は科学的に間違っていることが立証されているので、それほど行われません。
しかしながら、部活でのスパルタ教育が完全になくなったと言えるわけではないでしょう。
特に全国大会への出場が常連となっているような強豪校であればあるほど、スパルタ教育が行われる可能性も高くなると言われています。
顧問やコーチ、上級生から下級生に対する指導の域を超えた体罰であったり、あるいは周りよりも技術が劣っている一人の特定の生徒に対して全ての片付けを押し付けるような体制もスパルタ教育の一種であると言われています。
指導ではなく体罰やいじめといっても遜色ないようなスパルタ教育が数年に一度問題となり、大会への出場を辞退する強豪校のニュースを見たことがあるという人も多いのではないでしょうか。
育児
親が子どもに対してかける期待が大きければ大きいほど、育児もスパルタになっていく傾向があります。
まだ小さな子どもが完璧に食べることを要求したり、幼稚園にもなっていないような子どもに対してひらがなやカタカナだけではなく漢字を書くように強要することもスパルタ教育となるでしょう。
学業だけではなく礼儀やしつけ、工作なども期待値が高すぎて求めるものが多ければ多いほどスパルタ教育になりがちです。
自由時間が全くないほど塾や習い事に通わせたり、大勢の家庭教師による分単位でのスケジュールを組んだりすることもスパルタ教育と言われかねません。
仕事
「スパルタ」というと教育現場で行われることが多いので、学校や塾、部活や家庭教師など子どもが存在する現場で使われることが多い言葉というイメージを持つ人もいるでしょう。
しかし、実は社会に出てからもスパルタ教育に直面してしまう場合があります。
新入社員研修など、教えてもらう立場の際にスパルタ教育に出会うこともあるでしょうし、配属されてから先輩社員や上司から理不尽なスパルタ教育をされてしまうこともあるでしょう。
また、社会人として慣れてきてからも「五年目社員研修」や「マネージャー研修」などの研修の場で、人事の社員や外部の講師からスパルタ教育を受けることも少なくはありません。
研修
色々な研修でスパルタ教育をされてしまう恐れはありますが、その中でもやはり一番新入社員研修がスパルタ教育をされる可能性が高い研修です。
社会人として知らないことが多いため注意される場面も増えてしまい、一人だけ辛い思いをしていると感じることもあるでしょう。
また、学生時代よりも周りの人が厳しく、スパルタ教育をされていると思い込んでしまう場合もあります。
もちろん、そうした思い込みばかりではなく立場の弱い新入社員に対して研修を口実にパワハラのようにスパルタ教育をしてくるという人も少なくはありません。
社会人としての一般的な常識や教育現場を知らないからこそ、単に厳しさに自分がついていけてないだけなのか、それとも周りから見ても明らかに常軌を逸しているスパルタ教育なのかが分からず、大きなストレスを抱え込んでしまう新入社員も多いでしょう。
業務
新入社員研修など、研修期間が終わったからといって完全にスパルタ教育と縁が切れるわけではありません。
会社によっては、現場に配属されてからの方が研修時代よりも厳しくスパルタ教育を受けてしまうケースもあります。
明らかにキャパシティー超えとなってしまう量の業務を押し付けられたり、質問したいのに無視をされてしまったりすることもあるでしょう。
新入社員ばかりがこのようなスパルタ教育を受けるのではなく、今までは楽しく働けていたのに異動先の雰囲気がスパルタ教育に染まっていて戸惑ってしまう人もいます。
しかし、業務上のスパルタ教育は、必然性のないものに関しては基本的にパワハラとして当該部署に訴えることもできることは覚えておくようにしましょう。
スパルタな人の特徴
自分では優しく指導しているつもりなのに、周りの人から「あの人ってスパルタだよね」と言われて驚いた経験を持っている人はいないでしょうか。
あるいは、上司から「ちょっとスパルタすぎて今の時代には合わないから教育方法を見直してみてほしい」と注意を受けて、どうすれば良いのか戸惑ってしまう人も少なくはありません。
教育は時代によって大きくトレンドが変わるため、数年前は有能な教育者であった人が、いつの間にかスパルタすぎる教育者として敬遠されてしまうことも珍しいケースではないでしょう。
しかしながら、どの時代でも「スパルタだ」と判定されてしまう人は共通する特徴を持っていると言われています。
では、どのような特徴を持っている人がスパルタだと言われてしまいがちなのでしょうか。
ここではスパルタな人だと思われてしまいかねない特徴を8つ紹介していきます。
心当たりがある人はセルフチェックに役立ててみてください。
思い込みが激しい
普段から周りの人のちょっとした冗談に気付けなかったり、自分が良いと思ったもの以外に対しては頑なに否定的な視点で見てしまったりと、普段から思い込みが激しい性格をしているという人はスパルタになってしまいがちなので注意が必要です。
思い込みが激しい性格は「自分は〇歳の時にこのレベルまでできてたから、他の人もできるはず」や「去年の生徒は教えなくても〇〇ができたから、今年の生徒もできて当然」など、一つの成功体験が全員に当てはまると思い込んでしまいがちです。
その結果「できないのは怠けているから」と考えて、生徒や部下に対してスパルタな指導をしてしまうことになるでしょう。
それぞれ個性があるということを強く認識しておかなければなりません。
熱くなりやすい
集中力が高く物事に熱中しやすい性格の人も、指導している間に熱が入りすぎてしまってスパルタ指導になる恐れがあるので気をつけましょう。
自分では冷静に優しく指導しているつもりでも、熱中していると声が大きく威圧的になってしまい生徒や部下を委縮させてしまっているかもしれません。
そうなると本来の実力が発揮できず、ますます指導に熱が入るという悪循環に陥ってしまうこともあります。
熱中しやすい性格の人は、自分が指導している姿を一度録画してみるのもおすすめです。
録画が難しければICレコーダーなどで録音してみるのも良いでしょう。
最初は普通に指導していても、徐々に声が厳しくなっていることに気付ける場合もあるかもしれません。
自分が熱中しやすいと自覚している人は、どのタイミングで熱中するのかを知り適宜休憩を挟むようにすれば改善できるでしょう。
厳しい
スパルタの語源を見ても分かる通り、そもそも厳しい人の指導はスパルタ指導になりがちです。
特に自分にも人にも厳しいストイックな性格の人は、自分では普通にしているつもりでもスパルタ指導だと言われてしまい、どうすれば優しい指導ができるのか分からなくなってしまうということもあるでしょう。
厳しい性格でスパルタ指導になってしまう場合は、あまり目標を意識せずに指導するのがおすすめです。
目標ばかりを意識してしまうと、どうしても到達しようと考えてさらに厳しくなってしまいます。
そのため、目標を意識するのではなく目の前の生徒や部下の様子を見ることで、厳しさに緩急をつけられるようになるでしょう。
厳しいことは決して悪いことではないので、厳しさ一辺倒にならないように注意しながら指導してください。
気配り下手
普段から気配りが下手で、グループで食事に行った時でも自分だけ調味料をかけて満足してしまい周りの人に「回してよ」と指摘されるような気配り下手の人も、実はスパルタ指導になりがちです。
そうした人は抜けていると思われて指導ものんびりしているイメージがあるかもしれませんが、気配りができないため休憩時間を挟んで生徒や部下の気分転換をしてあげるということができません。
そのため「自分はまだ疲れていないから」や「自分はまだまだ大丈夫だから」と自分本位で指導を行ってしまい、結果的に理不尽に長時間指導してしまうという事態に陥ってしまうのです。
指導中に周りに気を配ることができない場合は、タイマーなどを利用して時間を区切るようにすると改善されるでしょう。
考え方が古い
実は、現在はスパルタだと言われてしまう指導であっても昔は普通の指導だった、ということも少なくはありません。
しかしながら、教育現場は色々な考え方で動いているため、今までと同じようにやっていてもいつの間にかスパルタ指導だと言われてしまうこともあるでしょう。
学校の先生や部活の先生はもちろん、毎年新入社員を教育する人事の立場でも考え方が古い人はいつの間にかスパルタ指導になってしまいがちです。
そういう人は、常に最新の教育情報を取り込むようにしましょう。
自分の指導方法が古くないか、一つの部活や会社といった組織では当然だと思われていても世間的におかしくないかを客観的に判断することが重要です。
時には自分が指導者の立場ではなく研修や勉強会に出て生徒の立場となることで、どのような指導が効果的かを学ぶのも良いのではないでしょうか。
負けず嫌い
自分自身が成果を出さなければならない立場の場合、負けず嫌いな性格は功を奏すると言われています。
しかし自分が指導者になってしまうと「去年の自分の生徒よりも良い成果を残したい」や「周りの先生よりも良い成果を残さなければならない」という意識でスパルタ指導をしてしまうことになります。
自分の成果を示すために周りの人が良い成績を出す必要があるため、必要以上に指導が厳しくなってしまうこともあるでしょう。
負けず嫌いな性格の人は向上心が強い人も多く、プレーヤーとしては極めて優秀な人も少なくはありません。
しかし指導者の立場になると、自分の負けず嫌いを生徒や部下にも強制してしまい、委縮させてしまうスパルタ指導を行ってしまう人も多いと言われています。
負けず嫌いな性格の人は、周りの生徒の成績と比較するのではなく、生徒個人個人の伸び率をさらに伸ばしていくように着眼点を変えて指導してみてください。
空気が読めない
普段から空気が読めない発言をしている人も、スパルタ指導をしてしまいがちです。
空気が読めないということは必然的に気配りも苦手ということになってしまいますので、気配り下手の人と同じように自分のペースを生徒や部下に押し付けてしまいがちです。
目の前の生徒や部下が疲れているのに空気が読めずに休憩を省略してしまったり、周りの人から遠回しにスパルタ指導を諫められても気付けずに続けてしまうということもあるでしょう。
生徒や部下の体調や普段の様子には人一倍気を付けながら指導しなければなりません。
不器用
「不器用な人はできない人の気持ちが分かるから良い指導者になる」という説もありますが、実は不器用な人も一歩間違うとスパルタ指導者になってしまいます。
不器用な人は自分ができない部分は理解できてもその他の部分でつまづく人の気持ちは理解できないため「こんなところでつまづくのは怠けている証拠だ」と考えてしまう恐れがあるのです。
また、自分ができる部分ができない人の気持ちを理解したくても不器用だからこそ理解できず、お互いにできない理由を追及しているうちに指導者と生徒の両者が疲弊してしまい時間だけが無駄に過ぎていくこともあります。
自分と同じ分野で不器用な人への指導であれば効果を発揮しても、それ以外の人にはスパルタ指導者になってしまう恐れがあるので気をつけましょう。
スパルタな教え方での注意点3個
スパルタな教え方であっても、お互いに信頼関係ができていれば生徒や部下がついてきてくれて成果を発揮することもあります。
時代遅れと言われがちなスパルタですが、双方がそれを望んでいる場合は一概に悪い教え方であると断言できるわけではありません。
しかしながら、どんな指導であってもスパルタすぎると徐々に不満が溜まってしまいます。
最初はスパルタ指導を受け入れていた生徒や部下も、それが続くと反抗心ばかりになってしまうこともあるでしょう。
スパルタな教え方をする時にはどのような注意点を覚えておかなければならないのか、スパルタすぎる指導にならないためにも指導者の立場にいる人に向けて解説していきます。
やり過ぎ
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」ということわざがありますが、何事もやり過ぎは厳禁です。
最初は良い指導であっても、それが行き過ぎてしまうとやり過ぎとして批判されるでしょう。
最初は支持してくれていた生徒や部下も、それが当たり前になってしまうと嫌気がさして離れていってしまい、結果的に指導が失敗に終わってしまうというケースも少なくはありません。
どんな状況であってもやり過ぎには注意しましょう。
暴力
特に、暴力のやり過ぎには注意しなければなりません。
たとえば同じ立場の生徒同士で「失敗したらデコピン一発」とミニゲームのように遊んでいる場合は良くても、それが指導者からの押しつけになってしまうと、途端にミニゲームではなく恐怖政治になってしまいます。
暴力で支配してしまうと、生徒や部下の自主性を奪ってしまい委縮させ、どんなに良い指導をしても絶対に届かなくなってしまいます。
「強い力の暴力はNGでも弱い力で少し小突くくらいなら問題ない」というわけではありません。
指導者側からの暴力は、どんな理由、どの程度であっても生徒や部下に恐怖心を与えてしまいます。
指導の際にスパルタになることはあっても、絶対に暴力には訴えないようにしましょう。
暴言
身体的な暴力だけではなく、暴言による心の暴力にも注意が必要です。
たとえば家庭教師をしていて「この問題が解けないと先生悲しいなぁ」や「この問題が解けないとガッカリしちゃうから頑張ってほしい!」程度の言葉であれば、生徒のやる気を出して発奮させるためにも有効な手段になるでしょう。
しかし、これがやり過ぎてしまうと「この問題が解けないとガッカリだ。教えた価値がなくて悲しい」などの表現になってしまいます。
そうなると、身体的な暴力と同じように生徒を委縮させてしまい信頼関係は壊れていくでしょう。
暴言は、最初から暴言になるわけではなく「ガッカリしちゃうから頑張ってほしい→ガッカリさせないでほしい→ガッカリだよ→教えた価値がない」のように徐々にエスカレートしていく傾向があります。
同じ失敗を繰り返してしまう生徒や部下であっても、言葉が厳しくならないように注意しなければなりません。
時間をかけすぎる
暴力や暴言に気を付けているからといって、絶対にスパルタ指導にならないわけではありません。
行き過ぎた長時間の指導も、スパルタ指導になってしまうので時間配分にも注意しましょう。
たとえ生徒や部下の方から「まだできる」と言われても、適切な時間に休憩を入れるのは指導者の義務だと考えておけばスパルタ指導を防ぐことができます。
長時間の指導をしても集中力が切れてしまい効率が悪くなってしまいます。
お互いにイライラして、暴力や暴言の原因となってしまうこともあるでしょう。
また、生徒や部下は自分のやる気をアピールするために休みたくても「まだできる」と言っている可能性もあります。
指導者側は、こうしたことまで想定して時間配分を決めた方がスパルタ指導と言われないだけではなく、効率の良い指導ができるようになります。
理不尽な要求をしてないか
やり過ぎていない指導がないからといって、スパルタ指導にならないわけではありません。
スパルタ指導にならないためには、要求のレベルにも注意しなければなりません。
たとえばまだお箸も持てない年齢の子どもに完璧なテーブルマナーを要求するのは明らかにスパルタ指導でしょう。
それと同じように、新入社員に対してミスが全くない完璧な仕事を求めたり、競技の初心者に対してレベルの高いプレイを要求するのもスパルタ指導にあたります。
適切な要求レベルはその人の年齢やこれまでの経験だけではなく、その時のスキルや仕事への向き不向き、個性やその日の体調によっても大きく異なります。
もちろん慣れてきたら体調や気分に関わらず一定のレベルの成果を出すことは求められますが、初心者に対してはそこまでの要求をし過ぎないように注意した方が良いでしょう。
コミュニケーションはとれてるか
スパルタ指導かどうかは、やはり指導者と生徒や部下側のコミュニケーションによることも少なくはありません。
少し厳しい指導であっても、コミュニケーションが良好な状態だとスパルタ指導だと思われないケースも多いでしょう。
特に生徒や部下が楽しく指導されていると感じている場合には、スパルタ指導も受け入れられやすくなります。
厳しい指導を行う際には、スパルタになりすぎないためにもコミュニケーションの重要性も今一度見直しつつ指導していくのがおすすめです。
話を聞けているか
良好なコミュニケーションをとるためには、普段から生徒や部下の話をきちんと聞けているかが重要です。
指導に関する内容ばかりではなく、雑談などもできているかしっかり意識していきましょう。
プライベートな話ができるほど関係性ができている状態であれば、指導が辛かった時にすぐに反発するのではなく「これは少し辛いから変えてほしい」と生徒や部下の方から申告することもできるでしょう。
もちろん、プライベートの楽しい話だけではなく指導内容についても話をしっかり聞く姿勢を持つことは大切です。
どの部分が苦手で、どうしてできないのか、どのような教え方なら分かりやすく理解してくれるのかも話の中から掴むことができるでしょう。
良好なコミュニケーションを築き厳しい指導でも受け入れられるようにするだけではなく、効率的に指導を行っていくためにも部下とは色々な話をしていくようにしましょう。
説明不足はないか
さらに、指導の際のコミュニケーションにも注目してみましょう。
自分にとっては簡単にできることを教える時、無意識のうちに行っている動作を忘れて教えてしまっていることもあります。
あるボタンを押さないと見積もりが作れないのに、そのボタンの存在を忘れて作り方だけを教えていると新入社員はいつまで経っても見積もりを作ることができません。
指導者がその自分の説明不足に気付けないと、単に怠けていると勘違いして叱責してしまい関係が悪くなることもあるでしょう。
このような説明不足は、例ほど大げさなものではなくても発生しやすいと言われています。
自分が簡単にできることを教える時には、相手の前でスロー再生をするような気持ちで教えてあげると良いでしょう。
場合によっては相手がメモをとる時間なども適宜設け、説明不足や質問したいのに抜けている箇所がないかをゆっくり確認しながら教えてあげるのがおすすめです。
スパルタもほどほどに
熱血指導や厳しい指導は、生徒や部下側に受け入れるだけの素養があってお互いの信頼関係ができている時にだけ成立します。
逆を言えば、信頼関係ができていても生徒や部下の性格としてスパルタ指導が向いていないこともありますし、逆に性格的には問題なくても指導者との関係性によってはスパルタ指導で反感を持たれるだけのこともあるでしょう。
厳しくしっかり指導するスパルタ教育は悪いことばかりではありませんが、そればかりに固執してしまうと柔軟な教え方ができず指導者としての評価も下がってしまいます。
スパルタにすべきところはしっかり教え、スパルタがふさわしくない場面では楽しさや面白さを優先するなど、緩急をつけながら教えていくようにしましょう。