女性の社会進出が受け入れられるようになり、現在は男性に頼らずバリバリと仕事をこなす女性も増えています。
夫婦共働き率も上昇し、女性が満たすことのできる役割は、数十年前とは比べられないほど増えていると言えるでしょう。
しかし、女性の労働力には限りがあります。
仕事も男性と同じようにこなしながら、これまで通り家事や育児にと、女性の負担は増え続けているのです。
この記事では、女性が抱えている悩みであるワンオペ育児の全容と、それらの状況の解決策についてご紹介していきます。
ワンオペ育児とは?
出生率の低下や、男尊女卑の根強い名残など、女性が抱えている問題は数多く存在しています。
中でも、家庭と仕事の両立や、仕事と子育ての両立などは、女性が抱えている問題の中でも深刻度は高いと言えるでしょう。
ここでは、女性が抱えている問題の一つであるワンオペ育児という言葉の意味と、その由来について解説していきます。
ワンオペ=ワンオペレーション
ワンオペとは、ワンオペレーションという言葉の略称です。
コンビニエンスストアやファーストフード店など、一人で過酷な業務をこなす労働環境を示す言葉です。
1人で全てをこなさなければならない過酷な仕事状況と、育児や仕事、家事など全てをこなす女性の類似点の多さから、ワンオペ育児などと呼ばれるようになりました。
ワンオペ育児の他に、一人育児などと呼ばれることもありますが、インターネットを中心に「ワンオペ育児」という言葉が広く使われています。
育児の全てをひとりでこなすこと
前項でご紹介したように、ワンオペ育児とは、育児の全てを1人でこなすことです。
出産直後から、ご飯、排せつの世話、寝かしつけや着替えなどを1人でこなすことを、ワンオペ育児と言います。
主に女性側に多く見られるワンオペ育児によって、女性たちは体調を崩したり、精神を崩壊させる場合もあります。
このワンオペ育児の特徴は、シングルマザーに限ったことではないというところです。
未婚で出産した場合、一人で育児をこなし、仕事と家庭を両立することも少なくありません。
もちろん、両親や兄弟に頼る場合もありますが、シングルマザーの大半は育児をすべて一人でこなしています。
しかし、結婚して夫がいるにも関わらず、育児の全般を1人でこなすワンオペ育児の女性も少なくないのです。
2人の子供なのですから、当然育児も協力する事柄です。
しかし、昔ながらの「家事・育児は女性が行うもの」という価値観の男性が未だに多いことから、夫の協力を得られず、ワンオペ育児になってしまう場合も多々あるのです。
こういった育児に関する女性の悩みを発信すると、「専業主婦だから当然」「男性は外で仕事をしている」「女性と男性の本能や性質の違い」などといった反論が聞かれます。
確かに、子供を産み、育てるという行為は、女性の方が圧倒的に得意と言えます。
しかし、こういった理由があるからといって、女性に任せきりの育児が正当化されるわけではありません。
また、専業主婦だからといって、ワンオペ育児が当然ということもないのです。
なぜなら、専業主婦にはこれまでの仕事である「家事」というものがあります。
それらに育児を丸投げし追加すると、明らかに男性以上の働きとなります。
休日のない家事にプラス休日のない育児を追加するのは、あまりにも横暴で人生のパートナーである夫に不信感や不満を持つことも当然でしょう。
また、ワンオペ育児には様々なリスクも存在するため、女性に全てを任せる育児は非常に危険なものなのです。
ワンオペ育児の危険性
前項でもご紹介したように、ワンオペ育児には危険性が伴います。
それらを理解しないまま、「自分には外の仕事がある」と育児に参加しない自分を正当化したり、「女性が育児をするのは当然」と自分の間違った固定概念を押し通すのは、非常に危険な考え方なのです。
ここからは、ワンオペ育児の危険性についてご紹介していきましょう。
これらを知らないまま、妻側が頑張り過ぎたり、夫が任せっきりにし続けると、家庭崩壊を招くばかりか、どちらかまたは双方の精神を壊すきっかけになります。
まずは、自身の状況にあてはめて、しっかりと読み進めていきましょう。
逃げ場がない
ワンオペ育児の危険性は、逃げ場がないことです。
子供を持つ女性にとっては当たり前になっていることですが、子育ては24時間、365日休みなく続きます。
恐ろしいことに、これらの現状について、ほとんどの男性が理解していません。
「子供が寝ている時間がある」「スケジュールを管理すれば自分の時間くらい持てる」と考えているのです。
しかし、子供は人間であり、寝ているからといって、それがいつまでなのか誰にも把握できません。
少し目を離した隙に、何かトラブルを起こす場合もありますし、気を配っている必要があるため、家事を効率的にこなすこともできません。
物心つき、話が通じる年齢ではないため、母親側の意図をくみ取ってくれるわけではありませんし、体調の変化が大きい時期ですから、日々新しいことの連続で、スケジュールを立てるということが難しくなってきます。
確かに、男性の中には長時間勤務をこなしている人もいるでしょう。
しかし、通勤時や帰宅後は、自分の時間となります。
自分の見たいテレビを見ることもできますし、読書や入浴もある程度時間を確保することが可能でしょう。
また、仕事と私生活のスケジュールも立てやすいでしょう。
しかし、子育てをしている母親にとって自分の時間など皆無に等しいのです。
お風呂やトイレにゆっくり入ることはもちろん、その後の化粧水をつけたり、好きなテレビを見るといった些細な時間の確保も難しいのです。
ストレスが溜まる一方
これまで当たり前にできていた自分をケアする時間が持てず、昼夜子供の様子を伺って自分を二の次に生活している場合、当然ストレスが溜まります。
男性が携帯ゲームをやっている最中、女性に苦言を呈されたり、何かを頼まれただけで、心のいら立ちを感じる男性は少なくないでしょう。
自分の時間が確保できない、自分の時間を阻害されるという行為は、それだけストレスがかかるものなのです。
それらを24時間、365日耐え続けなければならず、その理由は「女」だからという根拠の乏しいものだとしたら、ワンオペ育児をこなしている女性のストレスは溜まる一方であり、終わりが見えません。
母性本能や責任感、子供への愛情で補ってはいるものの、いつバランスを崩してもおかしくないほどの負荷が、女性一人にかかってしまっているのです。
「仕事でも他者と接触しストレスを与えられている」「大人同士のやり取りの方がストレスになっている」と発言する男性もいます。
確かに、他者と接することが多い職場では、ストレスを感じることも多いでしょう。
思い通りにならないことも多く、ストレスが全くないとは言いません。
しかし、職場を離れれば自分の時間が確保できます。
どれだけ勤勉な日本人と言えど、24時間365日働き続けている人はいません。
ワンオペ育児とは、ほぼそれに等しい程の時間働き、絶え間なくストレスが与えられ続けている行為なのです。
親が子供の成長を共有できない
ワンオペ育児の危険性は、他にもあります。
それは、子供の成長を共有できないことです。
ワンオペ育児とは、パートナーに育児を丸投げする行為です。